僕の話

今日は僕のキャン玉の話をしようと思います

実は小5の時に土佐犬キャン玉を1つ喰いちぎられた・・・
親にも言えず・・・早20年近く

僕もキャン玉が無い事を忘れていたんですが
この間、風俗嬢のババアに「あんた玉ないね」
って言われ思い出した。

僕  「えぇ まぁ」
ババア「どうしたの?」
僕  「子供の頃、犬に1つかじられて・・・」
ババア「あんた、2つ共ないわよ」
僕  「えっ!?」

いつの間にキャン玉もう1つ無くしたんだろう・・・

思い出してみた・・・

5年前にコロンビア人という 
どう見ても中国人の立ちん棒に別れ際
キャン玉を握られたことがあった。
その時、彼女が驚いた表情でポツリと言った
あの言葉・・・
「・・・ワビサビ」
それ以来、コロンビア人と言い張る中国人は
船着き場から姿を消した。

今でもコーヒー豆に煎った匂いを嗅ぐと
彼女を思い出す。

グッバイ! ワンさん!!
グッバイ! 僕のキャン玉!!

何とも言えないこの気持ち。

sakaeyusuke2007-11-24

今回はちょこっと恥ずかしい話でもしてみよう。


20代の半ばを過ぎれば誰にでも、忘れられない異性の1人や2人は

いるのではないだろうか。

元彼や元カノ、初恋の人、想いを告げられなかった人、

傷つけちゃった人、傷つけられた人・・・


ビルにも夜中1人パソコンを打ちながら、何故だかふと顔を思い出して、

胸がキュンとなる人がいる。それは大学時代の元カノだ。

今はどこにいるのかさえ分からない。連絡もとっていない。


その元カノのM子とは、僕が19歳の秋に、僕の1人暮らしの家で催された

飲み会で出会った。小柄な、子猫のような目をした彼女。

一目惚れした。同じ大学の同じ学科だった。


仲良くなって何回目かに会った時に、勇気を出して「付き合ってください」って

告白した。彼女は三つ指ついて、「よろしくお願いします」って言ってくれた。


それから彼女とは、学校をサボってず〜っと一緒にいた。

家でゴロゴロしたり、古本屋をふらついたり、ご飯を食べに行ったりした。

映画を見たあとに、コーヒー1杯で感想をキャッキャ言いながらおしゃべりした。


いっぱいケンカもした。いっぱい泣かした。

バイトで約束してた花火大会を忘れてた時なんかは、浴衣姿の彼女を駅で

待ちぼうけにさせてしまった。

クリスマスにデート先の神戸でささいな事でケンカして、口もきかずに街を

歩いたりもした。


お笑い関係の仕事に就くのが夢だった僕が、運良く放送作家の先生と知り合って

ネタを書いて毎週送っていた頃、彼女は一緒に住んでいたのにも関わらず、

僕がネタを考える日は、気をつかって家を空けてくれたりした。


大学卒業の頃。僕が東京に行く事が決まり、深夜バスで上京する時、

梅田のターミナルまで見送りに来てくれた。

出発の時、かすれた声で「がんばって」とだけ言って、下手くそな

作り笑いをしてくれた。来る前に泣いてきたのか、目はパンパンに腫れていた。


それから、しばらく。

連絡も途絶えがちになり、当然のように訪れた別れ。

仕事に追われるようになり、いくつもの季節が通り過ぎた。

いつしかあんなに一緒にいた彼女の表情も、しゃべり方も、肌の温もりも、

風化するように消えていった。


つい最近、そんな彼女からメールが入ってきた。

何年ぶりだろうか。


結婚するらしい。


まだ返事は返せていない。幸せになってくれ、とは思う。

この、何とも言えない気持ちが大人になるってことなのだろうか。

じゃあやっぱり結構しんどいもんなんだな。

まぁしゃあない。ありがとう。

ヌゥママの空間。

sakaeyusuke2007-04-24

去る21日、4月のザ・ちゃらんぽらんvol.ENJOYがありました。

井本さんが盲腸でぶっ倒れて心配だったけど、無事開催。

前々日のヨシモト∞で入院明けの井本さんに久々に会った時に、

「腹が爆発したって聞きましたけど、大丈夫でしたか!?」って言うと、

「おまえそれ、藤原が言うてたんやろ!」って何故か殴られました。

まぁ何にせよ、順調に全快してもらいたいです。

5月のENJOYはお休みで、次回は6月の16日。

5月は25〜27日に、笹塚ファクトリーでフォービーズの公演があるので、

まずはそちらを見に行きましょう。

そんでもって6月は19日にトータルテンボスの久々のトークライブ「菖蒲苑」と

サカイストの漫才ライブもありますので、みなさんお楽しみに。

ヨシモト∞も遊びに来てね。


さてさて、話題はまたしても花びら大回転。


今回はアルバイトの話である。今でもいい加減やめたいと思いつつ、

生活のために中々やめられないアルバイト。

でも大学時代のアルバイトは親の仕送りもあったし(ビルはボンボンの子です)

今思えば完全なこづかい稼ぎで働いてたなぁ〜。


イヤになったらすぐトンズラこいてたので、当時の彼女へのプレゼント代やデート代を

稼ぐ時期になると適当にフロムエーを開いて見るような、まるでアホウな

アルバイターでありました。


何個かやったアルバイトの中でも特に思い出深いのが、何と、スナックのボーイ。

以前中国人のスナックに行った話をこのブログで書いたけど、今思えば

あのお店よりも酷いスナックでバイトしていたことがありました。


あれは確か、大学3回生の頃だった。

当時、大阪は富田林という片田舎にある大学の近くで一人暮らしをしていた。

季節はもうすぐクリスマス。当時の彼女のプレゼント代欲しさに、また何か新しいバイトを

探していた頃だったと思う。原付で時間つぶしがてら街を走っていると、たまたま

通りかかったスナックに『求人募集!』という手書きの貼り紙を見つけ、

何故か吸い込まれるように、飛び込みで面接を受けた。

お店の名前は「ドロー」。カウンターが5席とボックス席が1つの小さなスナック。

・・・場末。店内を見渡した時、その言葉がくっきりと浮かんだ。

面接をしてくれたのは、ヌゥそっくりの50過ぎのママだった。


「あの〜外の貼り紙見て来たんですけど・・・」

「貼り紙?・・・ヤダ、これ!?本当に来るとは思わなかった!」

「・・・あの〜ここでは、どういったお仕事を?」

「う〜んとね〜、まぁガッツよね!

「???・・・ここって、他に働いてる人って・・・?」

「私一人よ。じゃあチーフ、明日から来てよ」

「チーフ?あの〜履歴書とかは明日で・・・?」

「私、過去にはこだわらないの。私にも言いたくない過去があるから


という謎の問答の末、見事合格。さっそく次の日から働くことになった。

そして翌日、指定の時間に店に行くと、既にママがスッピン顔でカウンターに座っていた。

「(怪訝な様子で)誰?お店は8時からよ」

「いや、昨日面接に来た坂恵です」

「・・・・・・あらヤダ〜!誰かと思ったじゃない!もう〜ビックリさせないでよ〜!」


『更年期』、という言葉がそっと頭をよぎった。

自分は全然構わんが、お客の顔をこうして忘れているのは問題ではなかろうか。

「じゃあさっそくよろしくね」


開店までにやる事は、入り口の水撒き、お店の窓拭き。そしてお酒用の氷やおつまみを

買いに行って、コップの乾拭き。そうこうしていると、そろそろ開店時間の8時。

ヌゥママの分厚〜いメイクもバッチリ。しかし服はトレーナーにジーパンという

日曜のパパみたいないでたちだ。

軒先の看板に灯りが点った。初仕事だから、めいっぱい働くぞ〜っと意気込むが、

・・・来ない。

客が全然来ない。


しょうがないんで色褪せたゴルゴ13のコミックを読み始めるが、3巻まで読んだところで

まだ客が来ない。


ヌゥママ「ヒマだと思ってるでしょ。もうすぐ混みはじめるから」


しかし10時になってもお客が来る気配は全くない。やがて11時になって、ヌゥママが

「今日はみんな奥さんの手料理が食べたくなったのね。もう閉めましょう」

ということで、閉店。その日の売り上げは0円どころか、自分の人件費と氷代やおつまみ代を

合わせるとマイナス。

ヌゥママは「こんな日もガッツよ」と帳簿を付けながら、その場を濁していた。


翌日。また例によって開店作業をし、定時に軒先の看板に灯りを点す。

しかし今日も、客は来ない。

来ない・・・。

果たして世の中に、こんなにお客が来ないお店って在り得るんだろうか?というぐらい

客が来ない。店前のジュースの自動販売機の方が、よっぽど流行っている。

5巻までしかない色褪せたゴルゴ13のコミックの、既に2周目の2巻目を

読み始めたところで、ママが甘い声で囁いてきた。


ヌゥママ「チ〜フ〜最近肩こりがひどいの〜ちょっと、揉んでくれる?」


そして、50過ぎのオバハンの肩をもむ。これが若いギャルなら儲けもん!とニヤニヤ顔で

飛びつくところだが、もちろん、そんな気は微塵も起こらない。


年増の女性の肉付いた肩の凝りがほぐれる事だけに集中し、ひたすら力を込める。

ヌゥママは時折、「あ〜気持ちいいぃ〜」と煙草臭い吐息を漏らす。

店にある柱時計がコツコツと時を刻み、窓の外は星空を暗い雲が覆っていて、

小雨が降っている。このお店だけ世間に置いてけぼりを食らったような、密閉された空間。

もしかして今世界中で生きている人間は、ヌゥママと自分の2人っきりだけ

なんじゃないだろうか。そんな妙な不安が胸を締め付ける。

だとすれば、今すぐこの場から脱出したい!!

そんな事をヌゥママの肩に力を込めながらぼ〜っと考えていたら、

ふとヌゥママが口を開いた。


「チーフ、カラオケで何か歌って・・・泣けるやつ


何だそのリクエスト?と思いつつ、ヌゥママもアンニュイな気持ちなんだろう。

そりゃそうだ、こんなにお客が来ないんだもの。

曲目がやたら古いカラオケ本をパラパラめくり、しょうがないんで

うる覚えで知っている、松山千春の「恋」をチョイスした。


男は〜いつも待たせるだけで〜 女は〜いつも待ちくたびれて〜 ♪


待ちくたびれて・・・ヌゥママが手拍子を止めて、そっとハンカチで

自分の目尻に溜まった涙を拭う。

気まずい。「待ちくたびれて」、それは紛れもなくお客のことだった。

カラオケが終わって、その日は閉店した。


そんなスナックボーイ生活5日目の事だった。

例によってお客が全く来ない仕事終わり、ヌゥママが「バイト代払うね」と申し出てきた。

渡された封筒には3千円が入っていた。

3千円?

1日4時間労働で×5日で、3千円!?

時間給に換算すれば、何と150円である!!

昭和初期か!!


そして僕は、2度とそのお店には行かなかった。


あれから、もう5・6年経つ。あのスナックは、今どうなったのだろうか。

自分が働いた5日間は全くお客が来なかったけど、それはたまたまだったことを願う。

いつかあの店の前を通りかかって、もし軒先の看板の灯りが点いていたら、

顔でも出そうかしら。

いや、そもそもあの店自体、本当に現実に存在するものだったのだろうか。

客は「来ない」じゃなくて、きっと「見つけられなかった」のだろう。

あの空間でニッコリ笑って客を待つヌゥママは、「千と千尋の神隠し」みたいな

若き日に僕が見た、幻だったのだ。

新聞勧誘。

sakaeyusuke2007-01-21

20日、2007年一発目のライセンスのENJOYがあった。

M−1効果もあったのだろう、新規のお客さんが増えてたみたいで

ルミネは500オーバーのパンパン。内容もリニューアルしてお送りしたんだけど、

来た人はいかがだったでしょうか?


自分が関わってるライブだから言うんじゃないけど、たぶん月イチのライブとしては

限界っていうぐらいのクオリティとプログラムだったんじゃないでしょうか。

これを毎月作っていくんだから、ライセンスはやっぱ舞台も大好きなんだなぁ〜って

思います。次回は2月17日、お楽しみに。


さてさて、そんなENJOYが明けて翌日の話。

自宅で宿題をするためにパソコンを叩いていた日も暮れた頃。

ふいにピンポーンと、玄関のチャイムが鳴った。「NHKだったらめんどくせぇな」と

一度は無視するも、しつこく鳴るチャイム。普段は事前に知った来客しか出ないのに、

その時は何故か「ま いっか」と思いつつ、ドアを開けてしまった。

開けた瞬間「うわ、ビックリした!」と言いながら立っていたのは、

タバコ片手に眼光鋭い、明らかに裏社会のオーラが漂う

つのだ☆ひろみたいな顔のオッサン。

「あれ、俺金借りたっけ?」と、目をまん丸にするビル。

するとオッサンが矢継ぎ早に切り出した。



つのだ 「兄ちゃん、引越しの予定ってあるか?」



頭の上に思いっきり「?」のマークを浮かべつつ、何となく何かの勧誘だと

察知した自分は、とりあえず「はぁ、秋に引越し予定です」と答えた。

つのだ「そうか、そりゃよかった!ほんじゃ新聞とって欲しいねん」


また「?」。何で引っ越して、新聞とるのがちょうどいいんだ?


その質問をすると、つのだが「ちゃうねん、聞いてぇや」と言い出した。



つのだ 「とりあえずな、契約の件数が欲しいんや。契約の数でおっちゃんら、
    シノギをもらってんねん。でも兄ちゃん、引っ越すんやろ?
    ほんじゃ兄ちゃん、新聞とられへんやん。ほんじゃおっちゃんら、
    丸もうけやねん」



説明もよく分からない・・・。ただシノギというキーワードが出たことで、

疑惑が確信に変わった。



ビル 「あの〜とりあえず、僕新聞読まないんで・・・すみません」



ドアを閉めようとした瞬間、ドアに足を引っ掛けて閉めさせないようにするオッサン。



つのだ 「ちょお待って、今テレビやってんの、サザエさんか?



テレビから漏れる音を聞いて、オッサンが謎の質問をしてきた。


サザエさんはエンディング曲を迎え、次回予告のナレーションが流れている。



つのだ 「サザエさんの終わりのジャンケンあるやろ?おっちゃん、あれ
    仲間内で賭けてんねん。ちょっとジャンケンだけ聴かせてくれや」



う・・・嘘だ。いくらヤクザといえど、何て可愛らしい賭博をしているんだ。


真剣にテレビの音に耳を傾けるオッサンと、ドアノブを握ったままのビルの、

気まずい時間がしばし流れる。



つのだ 「ところで兄ちゃん、関西やろ?言葉のイントネーションで分かるわ!」



サザエさんは? オッサンはもう、なかったことにしている。



ビル 「まぁ、関西ですけど・・・」


つのだ 「どこ?関西のどこ?」


ビル 「兵庫県です。兵庫の淡路島」


つのだ 「へぇ〜〜、淡路かいな〜!!奇遇やな、おっちゃんも兵庫の加古川やねん。
    淡路やったら、今度玉ねぎ送ってくれや!



・・・何で?初対面のヤクザに?



つのだ 「なぁええやん、新聞とらんでええから、名前だけ貸してくれや〜。
    同郷のよしみで、な?な?」



ちなみに淡路と加古川、距離が遠いもおろか、何のゆかりも由縁もない。

「いやぁ〜新聞読まないんです〜」と濁しつつ、何度もドアを閉めようとするも



つのだ 「ちょお待って待って、ちくびダブルクリック!」


と意味の分からないボディタッチで場を繋ごうとするオッサン。

だんだん苛立ちが募るビル。



つのだ 「なぁ頼むわ〜!おまえ新聞読んだりせぇへんの?」


ビル 「はい、ネットもあるんで・・・」


つのだ 「何で?おまえの年頃やったら新聞ぐらい読まなあかんちゃうん?」


ビル 「まぁそうですけど、読みたい時は駅とかで買うんで・・・」


つのだ 「そんな毎日駅で買うてたら金かかるて!おまえみたいな若い奴は
    そんな金もないやろ〜」



そろそろイライラが限界に来たビル。



ビル 「あの〜どれだけ言われても新聞はとらないですし、あと初対面で『おまえ』って
   言われる筋合いもないんで・・・すみません」



再度ドアを閉めようとすると、オッサンの顔色が変わった。



つのだ 「『おまえ』の何があかんねん?」    


ビル 「いや、だから初対面ですし・・・」


その表情から「あれ、もしかして俺、殺される?」と思った。


つのだ 「兄ちゃん、ええこと教えたろ。『おまえ』っていう言葉はな、昔は『御前』って書いて、
    目上の人に使う言葉なんや。だからおっちゃんが兄ちゃんに『おまえ』っていうのは、
    何にも間違ってないんや〜!!



おっさんの「間違ってないんや〜!!」が夜空にこだまする。


凍りつくビル。



つのだ 「ということで兄ちゃん、新聞とってくれや」



さっきまでの表情は一転、笑顔でまとめに入ってまた勧誘するつのだ。

ここで負けちゃいけないと、さらに抵抗を続けるビル。



ビル 「でも僕、新聞とるお金なんてないんすよ」


つのだ 「ウソつけ〜儲かってるくせに。仕事何してんねん?」


ビル 「えっと、作家です。吉本の芸人さんの台本書く仕事・・・」


つのだ 「え、自分吉本なん!?こりゃまた奇遇や!実はワシの知り合いにも
    吉本の奴がおってなぁ〜・・・」



ここから、全く知らない大阪の若手落語家の話を15分ほど聞かされる。

オッサンの機嫌を損なわないよう「へぇ〜」「マジッすか?」「スゴイですねぇ〜」の

3パターンのあいづちでその話題を切り抜ける。



つのだ 「・・・というわけなんや。で、新聞とってくれや!」


ビル 「でも、お金ないんで・・・」


つのだ 「よし、分かった!じゃあ月なんぼやったらとってくれんねん?」


新聞の月額の相場はだいたい3500円程度。そんなに高いもんじゃないけど、

仕事柄ほとんど自宅に帰らない自分にとっては、ホントに無用の長物なのだ。



ビル 「・・・じゃあ、200円ぐらいなら」


つのだ 「よし、じゃあ月200円に負けるわ!」



!!?



つのだ 「じゃあ今から3か月分1万いくらの銭を渡すから、それを集金来た時に
    払ろてくれたらええわ!」



本当に財布を出してきたオッサン。怪しい!限りなく怪しい!!!

これには絶対何か裏がある!



ビル 「いや、ちょっと待って下さい!でも僕引っ越す予定(ウソ)なんで、
   今お金もらっても集金の時に払えないっすよ!」


つのだ 「ほんじゃ引越しの時期はいつやねん?とりあえず契約だけして、
    引っ越したら契約破棄になるから。とりあえずおっちゃん、件数だけ欲しいんや」



そこからまた「頼むわ」「勘弁してください」の攻防が30分ほど続いた。

そしてサザエさんの次の平成教育委員会が終わる頃、根負けして

申し込み用紙にペンを走らせる自分がいた・・・。



つのだ 「ありがとう!ほんじゃ兄ちゃん、頑張ってや!!ちくびダブルクリック!



最後の謎のボディタッチを残し、あっさりと帰るおっさん。

しばらく玄関に呆然の立ち尽くすビル。住んで今年で4年目になるが、東京、怖い。

新しい家を探さねば・・・

握らされたビール券で、飲めない酒を飲んでしまいたくなる、そんな切ない夜だった。

タバコ。

sakaeyusuke2006-11-19

GO−BU−SA−TA。


さて18日、今年最後のライセンスのエンジョイがルミネでありました。

今年最後っつうことでお客もパンパン。

ライセンス以外のメンバーも漫才を披露し、そしてコーナーでは井本おかんが登場、

何と藤原おかんと電話共演を果たすという盛りだくさんの内容でした。

いやぁ〜おもろかったなぁ〜。次回のエンジョイは来年1月の20日。


そして両方親父になったトータルテンボスの全国ツアー「47」も、12月2日(土)に

ルミネで東京公演があります。


さらに今週23日〜26日新宿下落合のアイピット目白ってところで、

劇団THEフォービーズの第8回公演「パパは極道」があります。

先日B面さんと話したら、「今回もエンドロールに坂恵の名前、バッチリ載せておいたから!」

と言っていたので期待。もし万が一名前の字を間違えていたら、極道ばりに

暴れようと思っています。



告知ごとは以上な感じで、さてさて、最近めっきり寒くなって参りました。

新宿の高島屋の通りなんかを夜に歩くと電飾がライトアップされて、早くも

クリスマスムード。もうそんな時期か〜冬だな〜今年も終わっちゃうなぁ〜・・・。

でも僕はそんな冬が好きだ。気温が寒い分、何故か人の温かみを余計に

感じる季節だからだ。タバコなんかを吸っていると、冬の白い息と混じって

いつまでも吐く煙が終わらない。そんな様子を見ていると、思い出すエピソードを1つ。



僕がタバコを覚えたのは、高校3年のちょうど今頃の季節だった。

当時陸上部に所属していた僕は、それこそ毎日毎日グルグルグルグル、グランドを

走り回っていた。別に走るのが早くもなく、特に好きでもない僕が何で

陸上部に入ったのか・・・それは今でも分からない。たぶん、運動部に入るということを

前提に置いて、走るという作業が一番単純に思えたからだろう。

しかし、とにかく高校で女子にモテるという部活はサッカー部。

クラスで中心メンバーにいるようなちょっと不良っぽい男子はみんな、

サッカー部だった。マネージャーとは関係のない女子がサッカー部の練習を

見学しているのを横目に、時には羨ましげに、時には反抗的にケツを出して女子に悲鳴を

浴びながら走っていたのを今でも覚えている。


そんなサッカー部の連中は、やっぱり不良の必須アイテム、タバコを覚えるのが

異常に早い。運動部の部室は、どのクラブもまとめて運動場近くに平屋のように

連なっていたが、職員会議があって先生が来ない時なんかは、一室だけ汽車のように

モクモクと煙をあげていた。

そんなサッカー部の何人かと仲が良かった僕は、ヒマがあっては部室に遊びに行っては、

「今日の全校集会で体育座りした時に見えた女子のパンツの色について」なんかの話で

盛り上がっていた。

ある日も、そんなしょうもない話でサッカー部の部室でバカ騒ぎをしていた。

もちろんサッカー部の連中は、モクモクと煙を吐くのを絶やさない。

その時友達の1人が、ふいに次のような一言をはなった。


友達「ところで坂恵は、タバコ吸わへんの?」

坂恵「えっ!?いやぁ〜・・・俺はまだ」

友達「吸うてみぃや、うまいで」

坂恵「でもな、今でも走るの遅いのに、もっと遅くなるっていうやん?」

友達「そんなもん、変わらへんて。俺かてタバコ吸ってても、サッカーの試合で

   コート走り回ってるんやから」

坂恵「う〜ん・・・・」


差し出された箱から、一本だけ飛び出たマルボロライト。

今思えばあの一本が、僕のタバコ人生の始まりだったんだなぁ〜。

恐る恐る口にくわえ、キャバクラのように友達に火を点けてもらう。


友達「いいか?一気に吸って、もう一回肺の中に入れるために吸い込むんや」


よう分からんけど、できるだけ言われたようにやってみる。

一気に吸って・・・・・・ゲホッゲホッ!!!

何たるまずさ!!

何たる不快感!!!

何だコレ!!


友達はその様子を見てキャッキャ言いながら笑っている。

二度と吸うまい!と心に誓うが、その帰り道で1人、もう一回吸ってみようと

自販機ですぐにマルボロライトを購入した。


それから何度となく自分の部屋で家族に隠れてこっそり、

人気のない場所でこっそり吸っていると、ありゃりゃ、いつの間にか

くせになってくる。飯のあとなんかは、美味いと思うようにさえ

なっていた。これで立派なスモーカーの誕生である。

学校に行っても、既にスモーカーの友達と何人か連れ立っては、学ランで

近くの駄菓子屋の裏のドブのところでうんこ座りして、煙を吐き出していた。

気分はもう、ろくでなしブルース状態。


案の定陸上のタイムだけは、目に見えるように激落ちしていた。


そんなスモーカーデイを送っていたある日、例のタバコスポット「駄菓子屋の裏のドブ」に

行くのもめんどうな冬の雨の日だった。

タバコは吸いたい、でも外は雨。そこで誰かが提案した、屋上の階段の踊り場。

あそこなら先生にも見つかることはないだろうと、友人幾人かで

タバコをふかしていた。その時、誰かの叫び声が廊下に響いた。


「先生が走って来よるぞ!!」


全員慌てて空き缶にタバコを捨て、蜘蛛の子を散らすように走り去る。

やばい、現行犯で見つかっていなくても、バレれば停学必至!!

顔は知られているのか!?匂いは大丈夫か!?学ランの袖をくんくん・・・

やばい、匂いでバレていまう!!

その時、2年の教室の方から、陸上部のある後輩が叫んだ。


後輩「坂恵さん、こっちこっち!これ体にふりかけて!!」


香水か!?なるほど、これでタバコの匂いもカモフラージュ!

しかし実際にふりかけられたのは・・・コショウだった。


・・・くしゃみが、止まらなかった。


坂恵「何でコショウやねん!!」

後輩「おかんの弁当の味付けがうすいんです!」


知らん!!

その後、先生に捕まった。


先生(僕の学生服の匂いを嗅ぎ・・・)「おまえ、昼飯何食った?」

坂恵「・・・弁当の、豚の炒め物です・・・ハクション!!

先生「風邪か?」

坂恵「いえ・・・」



その時は何故だか、停学は免れてセーフだった。

そして僕は、今でもタバコを吸っている。そろそろやめなくちゃなぁ・・・と

思いつつ、まだ煙を吐き続けている。

でも僕があの日初めてタバコを吸った学校の校舎・部室は、今はもうない。

最近、新しく建て替えられたのだ。

冬の白い息が混じったタバコの煙を見ていると、あの日の学ランで走り回った

毎日がそっと蘇るのだった。

スナック。

sakaeyusuke2006-10-17

さてさて、まずは告知を。

今月21日、月イチ恒例のライセンスのエンジョイ!がルミネで。

またおもろいんで来てみなさい。

そしてトータルテンボスの全国ツアー『47』は、来週末28日29日に岐阜・三重と。

こちらもおもろいんで来てみなさい。



そんなエンジョイの稽古終わりの本日のAM1:00。

「電車の始発まで時間あるから何か楽しいことをしよう」ということで、

また同期のエロ作家永井くんと、何と大人の男女の社交場『スナック』に行って来た。


神保町からトボトボ歩いて神田まで。色んな店を物色しながら、

「よし、ここにしよう!」と入ったのが『スナックCOCO』というお店。


ドキドキしながらドアを開けると「いらっしゃ〜せぇ〜」と飛び込んでくる

明らかにイントネーションのおかしな日本語のしゃがれた声。

「あちゃ〜・・・」とドアを閉めかけると、その隙間にバッとスレッドの割れたチャイナ服の

生足を挟みこみ、ぬっと顔を出してきたカルーセル麻紀みたいなオバサン。

ギョッとした表情で2人が固まっていると、そのオバサンがいきなり捲くし立てた。

「オニイサン、二人ね。1時間1人3千円。大丈夫大丈夫よ〜、ウチ楽しんでるよ〜


・・・いやぁ、あんたが楽しんでるかどうかは知らんけど。


ルーセル「座って座って、ソファーフカフカよ〜」


ソファーの状態も知らんが・・・という事で、強引に押し込まれてしまった。

店内は小ぎれいな4人がけのボックス席が2つと、カウンター席が3つ。

僕らは手前のボックス席に座った。


奥のボックス席では30歳そこらのサラリーマン2人組が既にカラオケを上機嫌に唄っていて、

カウンター席では嫁や子どももいるであろう、50歳近くのそこらの商店街の酒屋っぽい

おっさんが、背中の開いたドレスから蝶の刺青が見えるルビー・モレノみたいなホステスを

必死で口説いていた。


こういう店は初めてじゃないけど、やっぱり何故か、異空間に迷い込んだような

錯覚に陥ってしまう。正直「何で女の子と喋るのに金払わなあかんねん」的な気持ちが

まだあるので、社会勉強の冒険心で来ているようなものだ。


周りの様子に呆気にとられていると、「初めまして〜」と僕らについてくれる

ホステスの女の子が来た。亀田興毅に顔面にイイのをもらったような、鼻の穴が上向いた

インリン・オブ・ジョイトイみたいな女性だった。


鼻上インリン「どうも〜ヒトミで〜す。よろしくね〜」
 ビル・永井「あ、どうも・・・」
鼻上インリン「お兄さんたち若いね〜、いくつぅ〜?」
    ビル「あ、僕が25で・・・」
    永井「21です」
鼻上インリン「あ、そうなんだ〜」
    ビル「ひとみさんは、おいくつで?」
鼻上インリン「え〜〜〜いくつに見えるぅ?」


来た!!コンパでもよくあるお決まりのこの質問!しょうもねぇ!

おまえに興味ねぇ!!そんなもんどうでもええから、すぐに答えろや!!

・・・と言えるはずもなく、しばらくの間、鼻上インリンの年齢当てクイズ大会が開催される。

もし正解しても、この世で1番嬉しくないクイズ大会である。

結局32歳ということが分かり、若いとも言えないその微妙な年齢に、しばし沈黙する2人。


鼻上インリン「あ、そうだ、何飲むぅ?」
    永井「じゃあ僕はジンの水割りで」
    ビル「あ、僕お酒飲めないんで、何かソフトドリンクありますか?」
鼻上インリン「ソフト・・・ちょっと待って、ママに聞いてくるから」


席を立ち、カウンターのママ(カルーセル)と話をし、しばらくして戻ってくるインリン


鼻上インリン「ごめんなさい、ソフトドリンクないです」
    ビル「あ、そうですか、じゃあ僕もジンの水割りで」

グラスに氷を入れて、ジンの水割りを2つ作り始める鼻上インリン

その時、カウンターのママ(カルーセル)の声が店内に響き渡った。


ルーセル「1番テーブルにコーラ持っていって〜!」

!!!?


何故ウソをついた!?ソフトドリンク丸出しのコーラがあるじゃないか!!

・・・そんなツッコミもできず、酒がダメな僕はジンの水割りを舐めるように口にした。


鼻上インリン「お兄さんは、どこの出身?」
    ビル「兵庫県です。兵庫の淡路島」
鼻上インリン「あ〜淡路ィ?へぇ〜〜〜・・・」
・・・・・・絶対知らねぇだろ!!


    ビル「ひとみさんは、どこの出身ですか?」
鼻上インリン「あたし? 福建省


    ・・・福建省!?


こちらも、「へぇ〜」としか言えなかった・・・。


鼻上インリン「お兄さん、何か歌ってよ〜!」
と永井くんが迫られ、じゃあせっかくだから盛り上がる曲をと、気をつかって

オレンジレンジのノリノリの曲を入れる。頑張って唄っている永井くん。


すると隣のボックス席のサラリーマンが何故か「若い者には負けられん」と

火が点いたのか、彼もマイクを手に取り、永井くんの歌を横取りしてしまった。

たぶんサラリーマンは、自分の横に座っているホステスに気があるのだろう。

唄いながら視線をチラチラそのホステスに送っていた。

もちろんホステスは、まるで能面のような表情で機械的に手拍子をしているだけだった。


この店のカラオケはちょっと変わっていて、点数システムの画面の背景が

AV女優の写真になっていて、点数が高いほどボカシが消えて、ヌードが見られるという

親父丸出しのお下劣システムなのだ。

点数の画像が始まる度に、そのサラリーマンたちが変に盛り上がる。

しかし年甲斐もなく無理をしたオレンジレンジはあえなく30点台を叩き出し、

両チクビとも隠れたままだった。


それでもそのサラリーマンは何故かテンションが上がったのか、今度は

僕に声をかけてきた。


サラリーマン「ケツメイシ、唄える!?」
    ビル「え、あ・・・はい」

そして何故か見知らぬサラリーマンとの、謎のデュエットが始まった。

曲名は「トモダチ」


♪ずっとトモダチ〜・・・


今までも、これからも、この歌は絶対違うと思うけどなぁ・・・。



・・・そうこうしているウチに1時間が経ち、カルーセル麻紀が「オカイケイ」と

伝票を持ってきた。もちろん、最初の2人6千円はどこにやら。

8千円とられた。




神田の街に昇る朝日が、肩を落とした2人の影を、ゆっくりと伸ばしていくのだった。