スナック。

sakaeyusuke2006-10-17

さてさて、まずは告知を。

今月21日、月イチ恒例のライセンスのエンジョイ!がルミネで。

またおもろいんで来てみなさい。

そしてトータルテンボスの全国ツアー『47』は、来週末28日29日に岐阜・三重と。

こちらもおもろいんで来てみなさい。



そんなエンジョイの稽古終わりの本日のAM1:00。

「電車の始発まで時間あるから何か楽しいことをしよう」ということで、

また同期のエロ作家永井くんと、何と大人の男女の社交場『スナック』に行って来た。


神保町からトボトボ歩いて神田まで。色んな店を物色しながら、

「よし、ここにしよう!」と入ったのが『スナックCOCO』というお店。


ドキドキしながらドアを開けると「いらっしゃ〜せぇ〜」と飛び込んでくる

明らかにイントネーションのおかしな日本語のしゃがれた声。

「あちゃ〜・・・」とドアを閉めかけると、その隙間にバッとスレッドの割れたチャイナ服の

生足を挟みこみ、ぬっと顔を出してきたカルーセル麻紀みたいなオバサン。

ギョッとした表情で2人が固まっていると、そのオバサンがいきなり捲くし立てた。

「オニイサン、二人ね。1時間1人3千円。大丈夫大丈夫よ〜、ウチ楽しんでるよ〜


・・・いやぁ、あんたが楽しんでるかどうかは知らんけど。


ルーセル「座って座って、ソファーフカフカよ〜」


ソファーの状態も知らんが・・・という事で、強引に押し込まれてしまった。

店内は小ぎれいな4人がけのボックス席が2つと、カウンター席が3つ。

僕らは手前のボックス席に座った。


奥のボックス席では30歳そこらのサラリーマン2人組が既にカラオケを上機嫌に唄っていて、

カウンター席では嫁や子どももいるであろう、50歳近くのそこらの商店街の酒屋っぽい

おっさんが、背中の開いたドレスから蝶の刺青が見えるルビー・モレノみたいなホステスを

必死で口説いていた。


こういう店は初めてじゃないけど、やっぱり何故か、異空間に迷い込んだような

錯覚に陥ってしまう。正直「何で女の子と喋るのに金払わなあかんねん」的な気持ちが

まだあるので、社会勉強の冒険心で来ているようなものだ。


周りの様子に呆気にとられていると、「初めまして〜」と僕らについてくれる

ホステスの女の子が来た。亀田興毅に顔面にイイのをもらったような、鼻の穴が上向いた

インリン・オブ・ジョイトイみたいな女性だった。


鼻上インリン「どうも〜ヒトミで〜す。よろしくね〜」
 ビル・永井「あ、どうも・・・」
鼻上インリン「お兄さんたち若いね〜、いくつぅ〜?」
    ビル「あ、僕が25で・・・」
    永井「21です」
鼻上インリン「あ、そうなんだ〜」
    ビル「ひとみさんは、おいくつで?」
鼻上インリン「え〜〜〜いくつに見えるぅ?」


来た!!コンパでもよくあるお決まりのこの質問!しょうもねぇ!

おまえに興味ねぇ!!そんなもんどうでもええから、すぐに答えろや!!

・・・と言えるはずもなく、しばらくの間、鼻上インリンの年齢当てクイズ大会が開催される。

もし正解しても、この世で1番嬉しくないクイズ大会である。

結局32歳ということが分かり、若いとも言えないその微妙な年齢に、しばし沈黙する2人。


鼻上インリン「あ、そうだ、何飲むぅ?」
    永井「じゃあ僕はジンの水割りで」
    ビル「あ、僕お酒飲めないんで、何かソフトドリンクありますか?」
鼻上インリン「ソフト・・・ちょっと待って、ママに聞いてくるから」


席を立ち、カウンターのママ(カルーセル)と話をし、しばらくして戻ってくるインリン


鼻上インリン「ごめんなさい、ソフトドリンクないです」
    ビル「あ、そうですか、じゃあ僕もジンの水割りで」

グラスに氷を入れて、ジンの水割りを2つ作り始める鼻上インリン

その時、カウンターのママ(カルーセル)の声が店内に響き渡った。


ルーセル「1番テーブルにコーラ持っていって〜!」

!!!?


何故ウソをついた!?ソフトドリンク丸出しのコーラがあるじゃないか!!

・・・そんなツッコミもできず、酒がダメな僕はジンの水割りを舐めるように口にした。


鼻上インリン「お兄さんは、どこの出身?」
    ビル「兵庫県です。兵庫の淡路島」
鼻上インリン「あ〜淡路ィ?へぇ〜〜〜・・・」
・・・・・・絶対知らねぇだろ!!


    ビル「ひとみさんは、どこの出身ですか?」
鼻上インリン「あたし? 福建省


    ・・・福建省!?


こちらも、「へぇ〜」としか言えなかった・・・。


鼻上インリン「お兄さん、何か歌ってよ〜!」
と永井くんが迫られ、じゃあせっかくだから盛り上がる曲をと、気をつかって

オレンジレンジのノリノリの曲を入れる。頑張って唄っている永井くん。


すると隣のボックス席のサラリーマンが何故か「若い者には負けられん」と

火が点いたのか、彼もマイクを手に取り、永井くんの歌を横取りしてしまった。

たぶんサラリーマンは、自分の横に座っているホステスに気があるのだろう。

唄いながら視線をチラチラそのホステスに送っていた。

もちろんホステスは、まるで能面のような表情で機械的に手拍子をしているだけだった。


この店のカラオケはちょっと変わっていて、点数システムの画面の背景が

AV女優の写真になっていて、点数が高いほどボカシが消えて、ヌードが見られるという

親父丸出しのお下劣システムなのだ。

点数の画像が始まる度に、そのサラリーマンたちが変に盛り上がる。

しかし年甲斐もなく無理をしたオレンジレンジはあえなく30点台を叩き出し、

両チクビとも隠れたままだった。


それでもそのサラリーマンは何故かテンションが上がったのか、今度は

僕に声をかけてきた。


サラリーマン「ケツメイシ、唄える!?」
    ビル「え、あ・・・はい」

そして何故か見知らぬサラリーマンとの、謎のデュエットが始まった。

曲名は「トモダチ」


♪ずっとトモダチ〜・・・


今までも、これからも、この歌は絶対違うと思うけどなぁ・・・。



・・・そうこうしているウチに1時間が経ち、カルーセル麻紀が「オカイケイ」と

伝票を持ってきた。もちろん、最初の2人6千円はどこにやら。

8千円とられた。




神田の街に昇る朝日が、肩を落とした2人の影を、ゆっくりと伸ばしていくのだった。