つげ義春。

sakaeyusuke2005-03-16

みなさんは、つげ義春って漫画家をご存知ですか?

60年代終わりの貸し本漫画の時代に「ガロ」という雑誌でデビューして、

80年代に入って以降、まったく作品を描かなくなってしまった自由気ままな

漫画家さんだ。

つげ義春の有名な作品をあげると、「ねじ式」「無能の人」「紅い花」

「ゲンセンカン主人」などなど名作揃いなんだけど、同年代の人で読んでいる人は

少ないと思う。

ねじ式」は数年前に浅野忠信主演で映画化されのだが、あの作品の不思議な世界感を

わりと忠実に再現していて、とっても秀逸だった。

簡単に概要を説明すれば、ある青年が「メメクラゲ」という架空の海の生物に

腕の血管を食いちぎられ、街に出て医者を探すんだが、その街がパラレルワールドで、

どうも様子がおかしい。街で病院の場所を聞くために色んな人に話しかけるんだが、

会う人会う人どこか奇妙で、ちゃんとした答えを教えてくれない。そんなストーリーが

あるようなないような、フワフワした夢の中のような話だ。


私もこの「ねじ式」を最初読んだ時は「なんじゃこりゃ!?」と思ったけど、

この人の作品は何度も読むうちに深みにハマる。何か読んでるだけで後ろめたいような、

暗い闇に溶け込むような・・・そんな感じがとても心地いいのだ。

そして絶対外せないのが「無能の人」!

こちらも既に、竹中直人さんの第一回監督作品として映画化されている。

社会に順応できない貸し本漫画家が、嫁さんに白い目を向けられながら始めた商売が、

元手のかからない、河原の石を拾って売るお店。勿論そんな物を買う

物好きな客はいない。

ただ毎日毎日彼は河原で石を拾って、ボロ小屋の軒先に並べて、川の流れを

ボーっと眺めているのである。

私はそんな落ちぶれたこの主人公に、どこか共感を覚えてしまう。

今の私もまぁ、似たようなものだからだろうか・・・。

こんな川を毎日見つめるだけの生活なんて今は絶対ごめんだけど、

年を食ったらそれも悪くないかもしれない。

ただ安心のために、ちょっとずつでも貯金は貯めこんで・・・。

心のどっかで侘しい人間の原風景を求めてる人、

そんな人いるのか分からないけど・・・

つげ義春、オススメです!